エッセイ参考作

『大人の愛 ホントの愛』

一年くらい会っていない女性から、メールが着た。
最後にコンタクトしたのはホワイトデーの時だったと思う。僕がバレンタインのお返しに、入浴剤セットを送ったら、「これってアシスタントさんが選んだんでしょ。先生はこんなセンスないよね」と言ってきたとんでもない女である(笑)。
家も遠いし、メールのやりとりだけの付き合い。知性的な美人で、以前には、彼女に惚れた男から、「おまえが○○さんの彼氏か」というメールが着たくらいである。
件名は『大人の愛 ホントの愛の読書感想文』と書いてあった。「え? 今頃? 半年前の本だよ。読むの遅いな、こいつ」と苦笑しながらメールを開いた。

「最初読んだ時、なんだかいつもと違ってスラスラ読めないと言うか、ストレートに入って来なかったんで読み返したんですけど、真理を突いてるすごい内容だけど、これを若い人が理解できるんだろうかと気になりました。
しかも今までの女性向けの恋愛本よりハードかも?
里中先生は本能からの観点で書いていて(と私は思う)、それはもう、絶対的に正しいと思ってます。
でも、頭でっかちな人達には、受け入れづらいでしょうね。
根っこにあるすごくいいメッセージが、上っつらだけ読んだ人には伝わりにくい内容じゃないかと、歯がゆい気持ちです。」

素直に嬉しかった。
実はこの本は、賛否両論が激しく、ネット上には批判ばかり。まあ、ネットは批判と中傷の巣だから仕方ないが、ネット書店に批判が一気に寄せられてきてか
ら、この本は急に売れなくなった。
僕は彼女に返信した。

「この本を書いてから、ファンが減ったよ。恋愛の失敗を何度もしている大人向けに書いたんだけど、若い女の子が読んで、希望を失ったのかな」

正直言って、どうでもいいのである。僕は、大衆に、「分かってもらおう」と思い、何かを書いた事がない。ただ、自分の話を書いているだけだ。それを表面しか見ない連中に自慢話と叩かれているが、と言うことは、僕が、人に自慢できるような部分を持っているという証明になるから、それもまたいい。叩かれれば叩かれるほど僕は大きくなっていくよ。
ただ、そんなカッコイイ部分だけではなく、親が泣くような「恥」も書いている。
人間は醜い。著名人、有名人を攻撃する事が、それ以外の人(一般人っていうのかな)のエネルギーになっているんだ。どこの世界でもね。
僕は告白する物書き。だけど、誰かのように「僕は弱いんだ」と泣き言ばかり言って同情を誘うような人物にはなりたくない。
俺はクールでタフだ。弱さは初恋の地に置いてきた。

彼女からまた返信が着た。

「一部の女性にしか受けないというのはわかる気がします。
男らしい男といるのが女の幸せだって知ってる人だと受け入れられるでしょうね。
そういう経験がないとわからないかも知れない。
私は里中先生と接している時、自分の中の女らしい部分がすごく感じられて(触発されるというか)、そんな自分がまた心地良かったんですよ。
そんな経験はじめてでした。
女らしさって、本物の男性によって引き出されるものだと、その時実感しました。
若いうちにそういう男性と知り合える女性は少ないでしょうね。
だから、里中先生がその事を伝えても、理解できないんじゃないのかなあ。」

そういえば、いいセックスをしたよね。僕が抱いて、涙を零した女は、おまえが初めてだった。あの本には、きっとおまえも出てきていて、だから、おまえには理解できたんだろうね。
女らしさは、その女性の才能なんだ。だけど、才能は眠っているもので、誰しも開花させる事は出来ない。誰のモノにもならない男が才能を開花させるには、努力が必要で、常に、誰かのモノになる女は、目の前の人の誘導が必要なんだ。
女は、「大人の愛 ホントの愛」を知っている男の誘導がないと、女らしくなれないんだ。当たり前の話で、なんだか恥ずかしいよ。『大人の愛 ホントの愛』を書いて、「書かなければよかったかな」と、ちょっと落ち込んでいたから、彼女からのメールはとても励みになった。ありがとう。僕は女に恵まれている。大人の女が、ずっと僕を応援してくれている。
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